11人が本棚に入れています
本棚に追加
/80ページ
果たして、一般的にこの男の行動が格好良いかと聞かれれば、逆であり、見苦しいと思うのだが、そんな男が良いと思っている女が隣にいるので、彼らの世界では格好良いのだろう。
きっとこのカップルは、ファミレス等の店員のちょっとしたミス等に過剰反応し、それがイケていると勘違いしている残念なカップルだ。
こんな状況の中でも、遥は恐怖を感じながらも、小説の中にこの2人を登場させようなどと考えており、無表情で2人を観察している。
その遥の態度が気に入らなかったのか、男は鼻息を荒くしながら、遥の眼鏡に手を伸ばした。
「この眼鏡壊させろ。それで許してやる」
一方の遥は、恐怖心は抱いているようで、抵抗する事なく、眼鏡を奪われる。
するとその瞬間、バカップルの様子が変化する。
「お、お前。可愛いな」
なんと、眼鏡の下に隠された遥の素顔は、美少女であった。
そして男は、ふいに言葉を漏らしてしまい、隣のバカノジョに睨まれる。
「そうだ。良い事思いついた」
バカノジョの方は、携帯を取り出すと、携帯のカメラレンズを遥に向ける。
「眼鏡有りバージョンと、眼鏡無しバージョンの写メ撮って、劇的ビフォーアフターってタイトルでネットにアップしよっ」
その言葉を聞いて、遥は持っていた鞄で顔を隠す。
この時代、ネットなんかにアップされれば、凄い勢いで拡散して、全てを消す事なんて不可能だ。
そんな事されたら生きていけない。
そう考えた遥は、何が何でも顔を撮られるわけにはいかなかった。
しかし、バカノジョの悪の手は止まる事は無い。
「ちょっと、その女の鞄奪って」
バカノジョはバカレシに命令する。
最初のコメントを投稿しよう!