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不意に、幸人が俺の右腕を引き寄せて、至近距離で見つめてくる。顔が近い。
「どっちだと思う?」
俺を試すような笑みを浮かべて、彼は真っ直ぐな視線を投げてくる。
彼の栗色の髪と頬に朝日が反射して、端正な顔立ちを際立たせて男の色気を醸し出していた。
がっしりとした肩幅に厚い胸板。
幸人ってこんな逞しい体つきをしていたっけ?
陽光の演出する彼のフェロモンを帯びた姿に一瞬息を呑むが、はっとして彼から離れる。
俺はどこを見ているんだ。
何だか変な気分になって、それを振り払うように彼に背を向けた。
「だから、どっちなんだよ!」
背後から、クスッ、と笑う息遣いが聞こえた。
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