再会

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キッチンへ向かおうとしたら、よく見回すとベッド周辺には服や物が散乱していた。 散らかってるなあ。 いかにも男の部屋って感じだ。 人んちなんだけど・・・、何か気になる。 掃除はそんなに苦ではないから、自分の家は片付けている方だ。 メシ作りながらでも少し片付けてやるか。 幸人の部屋の間取りは1Kで、キッチンの向かいが浴室になっている。 シャワーの音を背中で聞きながら、冷蔵庫を開ける。 ビールが大半を占めていたが、野菜等ちらほら使えそうな食材があった。 大体のメニューが決まり、料理をしながら煮込んだりしている間に部屋を片付けた。 勝手にしまったりすると幸人が困ると思い、服は畳んで部屋の隅に寄せて、部屋の真ん中にある低いテーブルや壁に寄せてある机の周辺に散らばっていた本や書類もまとめて寄せておいた。 途中、原稿用紙が数枚目に入った。 シャープペンか鉛筆で書かれたと思われる文章が並ぶそれには、大きな×印が付いていた。 よく見ると、何かのストーリーのようだった。 『孝之は大輔の唇を指でなぞった。「触れても、いいか?」大輔の濡れた瞳が、返事を物語っていた。』 なな・・・何だこれ!? これって・・・、名前から察するに、男同士の恋愛? この字は確かに幸人の物だ。 そういえば、昨日、幸人は今の職業を小説家だと言っていた。バイトをしながら小説を書いていると。 でも、もしかして、幸人は、・・・BL小説の小説家? 大きな衝撃を受けて俺は固まった。 そういえば、ベッドの足元にある本棚にはたくさんの本が並んでいるが、その中の一部には少女漫画やBL小説っぽい物もある。 おそらく・・・多分、俺の予想は間違いないかもしれない。
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