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睡蓮
――
華は一瞬なり。
ベンとさほど広くない部屋に三味
線の音が響いた。鳴らした男は前
が見えているのか否か、目元に布
をつけバチを持った手でまた三味
線を鳴らした。
その傍らには、とても妖艶な色の
気が溢れる角が羊のような男の姿
をした鬼がいた。
「どうかしたんですか?
畜生鬼」
「畜生鬼でなく畜生でいいよ」
目元が隠れた男――睡蓮が聞けば
、畜生鬼はクスクス笑いながらそう答
えた。
それに睡蓮も口元を笑わせながら
また、三味線を弾き始める。
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