第1章

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睡蓮 ―― 華は一瞬なり。 ベンとさほど広くない部屋に三味 線の音が響いた。鳴らした男は前 が見えているのか否か、目元に布 をつけバチを持った手でまた三味 線を鳴らした。 その傍らには、とても妖艶な色の 気が溢れる角が羊のような男の姿 をした鬼がいた。 「どうかしたんですか? 畜生鬼」 「畜生鬼でなく畜生でいいよ」 目元が隠れた男――睡蓮が聞けば 、畜生鬼はクスクス笑いながらそう答 えた。 それに睡蓮も口元を笑わせながら また、三味線を弾き始める。
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