Prologue

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繁華街の大きな交差点の巨大なテレビに今週のランキング一位、 彼らのミュージッククリップが映し出されていた。 二年前に彗星のように現れたかと思うと、 瞬く間にヒットチャートを独走し、 サウンド、 ルックス、 トーク番組で見せる彼らの人となり、 全てが大衆を引きつけ瞬く間にトップアーティストとなった。 この不況の音楽業界を牽引している今や押しも押されもせぬビッグバンド、 CRANKだ。 空港からホテルへ向かう車の中、 信号待ちをしているとその画面にボーカルの遼の顔がアップで映し出される。 その切ないのに挑発的なまなざしにドキッとし、 体が熱くなる。 そして公共の電波にのって何万もの人が見ているだろうに、 『そんな顔他の人に見せないで』 思わずそんなことを思ってしまった自分に苦笑いする。 ――遼、 頑張ってるんだね。
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