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993年
緑の自然に囲まれた遊具の何もない広場で10歳の少年が走っていた。
逃げ回るウサギとの距離を詰めて一気に跳びかかる。
「つっかまえたぁ!!」
完璧に捕えたかと思えたが寸前で跳び躱した。
顔面から地面に着地した少年。
負けじとすぐに顔を上げて起き上がる。
「にゃろめ!」
「……また遊ばれているのか?」
背後から聞こえる声にかばっと体ごと振り返った。
白髪の男が狩ってきたであろう大熊を片手に担いでいる。
「父ちゃん!」
「久しぶりにデカい獲物だった。これは美味いぞ」
「早く食おうぜ!腹減った!」
男の腕を引っ張ってだだをこねる。
ウサギよりも目の前の巨大な肉の塊に少年の口からよだれが垂れていた。
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