キスフレ2nd kiss Vol.15

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「ぶは!なんでそうなる? どういった脳みそだてめえは」 いきなり、水を吐き出されそのかけらが私の頬へと張り付いた。 それを無言で、おしぼりでふき取る。 「いや、勝手な想像です」 東雲リーダーが結婚しない理由を、 腐女子気味にいろいろ考えちゃったことを、 この場で謝罪します。 「ん?なんだ?そのへんてこな笑顔は」 「すみません。何でもありません」 笑いをこらえて、鳥を抓む。 料理上手なのは、長いこと彼女がいないと見た! ...かわいそうに。 ちょっと同情しちゃう。 ビールを彼が自分のグラスに継ぎ足し、 ついでに私のグラスにも継ぎ足した。 それに手を添えて、頭を下げる。 「嘘つきですね。 リーダー。 お母様にばれたら怒られますよ」 「いいんだよ。 きっとあっちもわかってるんじゃないか? むしろ嫁にできる彼女もいない 寂しい人生を東京で息子が送っています。 そんな悲しい事実を、正直に言わないでほしいって おふくろなら思ってるだろうね。 だから俺は、嘘ついてていいのよ」 「....そうですか」 リーダーの言葉が、私の胸に落ちる。 同じ嘘つき同士の二人。 そんなことで、ほんの少し傷がいやされた気がした。
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