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「リーダーって、
今まで女の子と付き合ったことありますか?」
「ぶはっ!なんだ急に」
「いや別に。
弱みを握ろうとか
そういうつもりじゃないですけど。
人を好きになったこと、あるのかなって素朴な疑問です」
「この年になれば、それなりに恋愛はしてきたさ。
どれも、うまく実らなかったがね」
私の質問に、険しく眉を寄せたが、
彼は思いのほか素直に口を開いた。
頬が赤いのは、少し酔ってきたからなのだろうか?
それとも、恋愛話に照れてるとか?
「フラれたんですか?」
「....お前は、ずけずけと物言うな」
「気になって、すみません」
「フラれた。そのとーりだ。
お互い忙しくて、会えない時間が長すぎた。
俺もあった時に気持ちを伝えるべきだったんだが、うまくいかなくてな。
そのうち相手を不安にさせてしまって、
好きな男ができたって。サヨナラだ」
箸を皿の上に置き、少し寂しそうに彼は、窓の外へと視線を向ける。
コトコトと、鍋が揺れる音だけが、この部屋を埋めつくしていた。
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