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いつの間にか、自分を抱きしめくれる妖がいた。涙を拭ってやりながら
「泣かないでくれ‥‥‥」
「ご、ごめんなさい」
「謝るな、我も‥‥‥辛いことを‥‥‥‥‥」
優しく撫でながら優しい言葉をかけてくれる妖に昌浩は、笑顔を見せた。
「いいです‥‥‥本当のことなんでしょう?」
「そうだ、愛おしい子よ!」
「あのね、‥‥‥‥おれの‥‥本当の‥‥真名教えて‥‥‥欲しいの?」
下を俯きながら呟いた。自分の本当の両親が付けてくれたはずの名が知りたかった。
「知っているよ、‥‥‥お前の本当の名は砕琉(さいる)」
「さ、砕琉?」
「そうだ、意味はわからないが姉が決めた名だ!」
「は、母上が?」
自分の名を知った時、心の中で懐かしさが沸いてきた。自分はこの名前を知っている感覚を味わった。
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