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昌浩の行方がわからなくなってから十日ばかり経った頃、都では
「晴明、また、文が来ているぞ!」
「ふぅ、またかの~?」
「‥‥‥ああ、多分同じ内容だろ?」
勾陣は、邸に届いた文を渡しながら答えた。此処のところ貴族から、狼に襲われている事件が発生していたからだ。
「困ったものだ」
ため息一つし、文を読み始めた。
勾陣はそんな晴明の後に座り眼を閉じた。暫くすると、
「勾陣よ、悪いがこの文を、成親と昌親に渡してくれんかの~?」
「わかった、だが式文にしないねか?」
「いや、悪いが、太裳」
太裳は晴明の前に顕現し
「お呼びですか?晴明様?」
「悪いが、勾陣と二人で成親達の護衛を頼む。‥‥‥嫌な予感してな?」
「「わかった(りました)」」
二人の神気が消え、晴明はため息し
(何もなければいいが、‥‥‥昌浩よ‥‥今何処におる)
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