uno

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「…………ま、またまたぁ。冗談キツいって」 「ホントです」 「……………」 「私、7年前に人を殺したんです」 そこでもう一度、私はニッコリと微笑んだ。 代わりにさっきまでヘラヘラ笑っていたチャラ男が、一転して薄気味悪そうに私の顔を眺めていた。 周りがそれぞれワイワイと盛り上がっているなか、私達二人の空間だけがぽっかりと別世界みたいに切り取られてしまっている。 しばらくして、チャラ男は我に返ったようにパチパチと数回瞬きを繰り返した。 そうして無理矢理に、引き攣った口角を持ち上げた。 どうやら本人は笑ったつもりらしい。 「じ、じゃあ。……楽しんでね、真白ちゃん」 意味不明な言葉を残してチャラ男はそそくさと立ち上がり、別の女の子の元へと立ち去っていった。 それを見送り、私はふっと息をつく。 ──── やっと静かになった。 これできっと、お開きまでは一人でいられる。 ぬるい清酒に口を付け、私は頬杖を付きながらスマホを眺めた。 常温なのにどうして冷やって言うんだろう、なんてどうでもいいことを考えていると、右の膝がじくじくと疼き始めた。 壁に阻まれて外は見えないけれど、雨が降ってきたのだと悟る。 (………甘いもの食べたい。……ケーキ、買って帰ろうかな) 無意識に痛む膝をさすりながら。 私はぼんやりと、そんなことを考えていた。  
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