12983人が本棚に入れています
本棚に追加
※※※※※※※
「あんたホントさぁ。マジでいい加減にしなよね」
開館前の掃除中、本棚を拭いている私に向かって同僚の原田 真澄がモップをかけながら呆れた口調でそう言った。
短大を卒業してから、私は自宅から歩いて10分の市立図書館に勤めている。
同い年のこの同僚を、私は親しみを込めてハラちゃんと呼んでいた。
もっとも同僚といっても私は非正規職員、ハラちゃんは正職員で天下の公務員様だ。
だからってハラちゃんは差別なんかしないけど。
比較的平均年齢の高いこの職場で同い年というのは貴重で、私とハラちゃんは必然的に仲良くなった。
プライベートでも、たまに一緒に出かけたりするぐらい。
実は昨日の合コンも、ハラちゃんが企画して誘ってくれたんだけど……。
「あからさまに場の空気悪くすんの、やめてよ」
「…………ごめん」
さすがに申し訳なくて、私はしゅんとうなだれながら謝った。
昨日のあの態度は……うん、私も大人げなかったと思う。
最初のコメントを投稿しよう!