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※※※※※※※ 「あんたホントさぁ。マジでいい加減にしなよね」 開館前の掃除中、本棚を拭いている私に向かって同僚の原田 真澄がモップをかけながら呆れた口調でそう言った。 短大を卒業してから、私は自宅から歩いて10分の市立図書館に勤めている。 同い年のこの同僚を、私は親しみを込めてハラちゃんと呼んでいた。 もっとも同僚といっても私は非正規職員、ハラちゃんは正職員で天下の公務員様だ。 だからってハラちゃんは差別なんかしないけど。 比較的平均年齢の高いこの職場で同い年というのは貴重で、私とハラちゃんは必然的に仲良くなった。 プライベートでも、たまに一緒に出かけたりするぐらい。 実は昨日の合コンも、ハラちゃんが企画して誘ってくれたんだけど……。 「あからさまに場の空気悪くすんの、やめてよ」 「…………ごめん」 さすがに申し訳なくて、私はしゅんとうなだれながら謝った。 昨日のあの態度は……うん、私も大人げなかったと思う。  
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