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「あら、随分と早いお目覚めですわね」
いきなり右頬に衝撃を食らって吹き飛ばされて、何が起きたのか良く分からないまま起き上がったら、えらく丁寧な口調で綺麗に響く声が聞こえた。
同時に不機嫌さ、というより不快感がバリバリに伝わってきた。
その声の主を見ようと顔を上げてみれば、ルビーのような長い髪に、瑠璃色の瞳の女。
笑顔のハズなのに怖ぇ、すんげー怖ぇ。
さっきから背中を走る寒気が止まんねぇ。
だがここで引き下がるかってんだ!
「な、なんだテメェ! いきなりなに何しやがる!」
あ、恐怖でどもっちまったよダセェ。
「何って、蹴り飛ばしただけですわよ? 王子に寄り付く害虫を」
が、害虫? この俺様が?
もー頭きた。
「俺様が害虫だと! ぶっとばす! 俺様を怒らせた事を後悔させてやる!」
多少身体能力で負けてても、そんな事は大した問題じゃねえ。俺様には魔法がある。
呼吸を落ち着け魔力を体に巡らせて、地面を蹴って距離を詰め、一発殴るだけで終わりだ。
女を殴るのは気が引けるが仕方ねぇ。とりあえず顔はヤメてボディだな。
そう決めて地面を蹴った瞬間に妙な違和感を感じた気がした。
◇ ◆◇◆ ◇ ◆ ◇
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