3rd move - 暴君

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「あら、随分と早いお目覚めですわね」 いきなり右頬に衝撃を食らって吹き飛ばされて、何が起きたのか良く分からないまま起き上がったら、えらく丁寧な口調で綺麗に響く声が聞こえた。 同時に不機嫌さ、というより不快感がバリバリに伝わってきた。   その声の主を見ようと顔を上げてみれば、ルビーのような長い髪に、瑠璃色の瞳の女。 笑顔のハズなのに怖ぇ、すんげー怖ぇ。 さっきから背中を走る寒気が止まんねぇ。 だがここで引き下がるかってんだ!   「な、なんだテメェ! いきなりなに何しやがる!」 あ、恐怖でどもっちまったよダセェ。   「何って、蹴り飛ばしただけですわよ? 王子に寄り付く害虫を」   が、害虫? この俺様が? もー頭きた。   「俺様が害虫だと! ぶっとばす! 俺様を怒らせた事を後悔させてやる!」   多少身体能力で負けてても、そんな事は大した問題じゃねえ。俺様には魔法がある。 呼吸を落ち着け魔力を体に巡らせて、地面を蹴って距離を詰め、一発殴るだけで終わりだ。 女を殴るのは気が引けるが仕方ねぇ。とりあえず顔はヤメてボディだな。   そう決めて地面を蹴った瞬間に妙な違和感を感じた気がした。        ◇ ◆◇◆ ◇ ◆ ◇
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