第1章

4/10
前へ
/10ページ
次へ
 トコはお母さんに訊いてみた。 「ねえねえ、お母さんも夏休みの宿題は早くやってた?」 「もちろんです。って言いたい所なんだけど、 私も結構、鈴子タイプだったなぁ。ため込んで最後に困るの。 だから、皆には困って欲しくないわけ。これ内緒ね。 誰にも話しちゃダメだからねぇ。さぁ、もうすぐご飯ご飯。」  誰にも話してはいけない。  あれっきり、ずっと忘れていた。だから確かに誰にも話してない。 自動販売機を倒して、底がどうなってるか見たことはないけど あの目目さんは、あの隙間より大きかった気がする。  トコがまだ小さかったからそう思っただけなのかな。 元気かな。まだあそこに住んでるのかな。 「ニャア。」フウコ(風子)が鳴いてる。お腹空いたのかな。  次の日、お母さんがリン姉の宿題を、怒りながら手伝ってるので 退屈だし、フウコとタコ公園(タコの形の滑り台があるの)にお散歩。 犬さんと違って仔猫は、自由気ままに散歩するから、ブロック塀の上 柵の下を行ったり来たり。結構、着いて行くトコの方がアスレチック。  フウコのトレーニングは凄いんです。トコだって水泳は得意です。 夏はプールがあるから大好きです。潜るのもできます。 トコはお外行くときは大きな麦わら帽子を被ります。 カコ姉のおさがりです。いつもなんでも新品はカコ姉達ばっかりで、 トコはおさがりばっかりです。  お母さんにそういうと、鈴子も華子お姉ちゃんのおさがりばっかり。 ってよくいってたよ。って言われます。じゃあ、しょうがないのです。  でも、この帽子は好きなのです。ひっくり返すとフウコが入ってくるの。 だから見失ったら、帽子をひっくり返して「フウコのボウシーだよ。」 それだけで、戻ってくるから大事な帽子なんです。  でも最近、フウコはタコ公園の途中の、パン屋さんの前で止まります。 ここのパン屋さんはお婆さんとお爺さんでやってて、お菓子もあります。 中は涼しそうだけど、サンドイッチが美味しそうだけど。  トコはお小遣いは貰っているんだけど、お母さんが一緒じゃないと、 お外へ持っていっていいのは500円までって言われてます。 多分、お母さん貯金には5千億万円くらいは貯まってるはずです。  そうだフウコも頑張ったし、公園で半分こしようって思って ジュースを買おうと思ったのです。けれど、お店のお婆さんは居眠り。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加