第1章

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 本編の一連の騒動が終ってから、一年程したある日の事。 麗かな春の陽射しの中で、日向ぼっこするのに相応しい。 このような午後は、王宮王女様付け教育首席担当官に相応しい。 時に検察の如く、その是非を調べて出廷を促すような 法に尽くす猫でもある。  黒猫のトリック猫爵(人間の爵位で言うと公爵に相当する。) 全く俺には無関係、無関心だがイギリスでいうDukeであり、 二位以下における爵位、三位の伯爵、四位の子爵、五位の男爵 とは全く地位が違うのだが、どんな女性(猫限定)にも フェミニストである事をモットーにしている。  男子たるもの如何なる女性であれど、美しく見目麗しく讃えて、 尽くさねばならぬ。それは生き様である。紳士ならではである。  余談だがリクラッカ王国では男女差別の徹底排除があるため 女性五位である場合は、男爵夫人ではなく淑女爵と呼ぶ。  で、我がリクラッカ王国の姫君は戴冠式の為の国民葬投票まで あと二年もあるせいか、オテンバに磨きがかかったというか。  最近では例の”CATBAR”にてハウス・ピアニストになり パレット(ヴァイオリン・♂22歳くらい。)を中心にして、 ドラムとベース、サックスを参加させて、完全にジャズバンドを 結成しており、毎週、ラジオで聴くことができる。夏には、 ファーストアルバムが出るらしいが、国王陛下が許すかどうか。  まぁそんな踊りたくなるような音楽の話は全くどうでもいい。 問題はディアスプロ王女が、いくら魔法学の師匠であり、 尊敬する叔母様、大魔女オズマ様であろうとも、 その弟子のバルド(♀虎猫)を、宮廷に預けるのはどうなのか。  西国の紛争鎮圧の為に、ステファンスまで連れていって、 大馬鹿な仕掛け(この手品は俺が教えたのだが。)で、 教会側を黙らせてくるといって、一つ季節が過ぎた。 ステファンスからは、定期的に「寒いけど腹が減るよりマシ」 などというふざけた絵葉書(本人のピース写真入り)が来る。 まぁオズマ様がいれば、彼は安全なのだが。  じゃあ、問題はなにか。こいつだ。このオズマ様の弟子を 騙っている(本人は自称ではないと言うのだが、信用できん。) この仔猫をトリック猫爵と同部屋にするとはどういう事か。  冒頭で述べたが、俺はレディには心から紳士であろうと 心がけているが、こんな寝ションベンたれのガキ猫まで そういう扱いはしない。俺はロリコンではないのだ。
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