第1章 ここに誕生チート野郎

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ミーンミーンミーン! 「あっつ~」 セミの声がうるさい夏の日、今日は一学期最後の日で、終業式ということで学校に向かっているのだが……。 「なんでこんな日に限って自転車が壊れるんだよ……」 日頃の扱いの悪さが祟ったのか、はたまた寿命だったのか、父 → 歳の離れた兄 → 俺へと引き継がれた自転車はハンドルが両方折れた。 あれにはビビった。ハンドルって折れるんだね。……ということで家から学校までの道のりを徒歩で進行中だ。 ( こんなことなら、金をケチらずに電車で行けばよかった……) 誰にも聞かれることの後悔をしていると、県内で事故件数が最も多いという交差点に出た。クラスの奴らはここを〈冥界の入り口〉だとか〈死の十字架〉だとか意味分からん呼び方をしている。 横断歩道の信号を待っていると、夜通し酒を飲んでいたのか顔を赤くした長い髪の女性がフラフラと向こう側から歩いてきている。 ( 危ないなぁ…… ) そう思っていると、その女性は横断歩道を赤信号なのにも関わらずゆっくりと渡り始めた。 「危ないよ姉ちゃん!戻りな!!」 こちら側にいるおっさんがそう叫ぶが、女性は聞こえていないのか、歩き続ける。 そして……猛スピードで向かってくるトラックがあった。 ( これは……止まらない!? ) 運転手が寝てしまっているのか、脇見運転をしているのか、酒でも飲んで判断が鈍っているのか、いずれにしてもそのトラックは簡単には止まれないスピードで突っ込んできた。 キキィ!! 「っ!危ない!!」 ドン! ギリギリでトラックはブレーキをかけたみたいだったが、勢いは衰えず女性に……いや、女性を突飛ばした俺に突っ込んだ。 ( 避けれな ) そこまで考えたところで俺は強い衝撃を受け、頭が真っ白になり、視界が赤に染まり、そして頭の中も視界も黒で染まった。 ーーーーーーーーーーーーーーーー ーーーーーーーーーーー ーーーーーー ー
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