0人が本棚に入れています
本棚に追加
◇◇◇
そして、放課後。
僕は屋上へと足を運んでいた。胸に、期待と若干の不安を秘めながら。
屋上の扉は鉄製の扉で、所々錆び付いていた。そういえば、この学校に通い始めて半年くらい経つけれど、一度も屋上に行ったことないな。
ふと、そんな感想を思いながら、僕は屋上の扉を開ける。
キィ、と黒板を引っ掻いたような甲高い音とともに扉は開いた。僕はその奥にーー手紙の送り主の元にーー足を進ませた。
夕陽が眩しい。夏ほどの熱を持った光ではないが、ずっと浴びていると汗がポタポタと落ちてきそうだ。
そんな中で彼女は立っていた。
夕陽を背景に、汗一つかかず。
「えっと……島村 真耶さん?」
僕は夕陽の眩しさに目を細めながら、彼女を見る。
身長は、一般的な女の子の身長からみると若干低め。
髪は柔らかそうな栗毛で、肩甲骨辺りまである。
そして、顔なのだが……いかんせん逆光のせいか見づらく、かろうじて残念な仕上がりではないことがわかる程度だった。
「はい、私が島村 真耶です。山田 圭太さん」
彼女はーー島村 真耶は、僕の質問にこくり、とおおげさに頷いた。
「そ、そっか。ところで、『どうしても伝えたいこと』ってなに?」
僕は少し戸惑いながら、質問する。一体、僕は何に戸惑っているのだろう。
最初のコメントを投稿しよう!