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「やだなぁ。山田 圭太さん、女の子が男の子を屋上に呼び出してすることなんて、一つしかないじゃないですか」
ころころと鈴のように笑いながら、島村 真耶は僕のほうに一歩歩み寄る。
それに対して僕は、一歩後ろに下がりながら、どうして僕は後ろに下がったのだろうと、考える。
考えて、考えながら、ふと彼女を見た。
一歩こちらに向かってきたからだろうか。今度は顔がよく見えた。
すごく可愛らしい顔立ちだった。真ん丸い目には純粋な輝かしさが映っていて、半開きになっている口はどことなく艶かしく、それでいてその艶かしい口からのぞく八重歯が凄く子供っぽくみえた。
あまりにも可愛いかったからだろうか。僕はさっきまで考えていた不安や戸惑いが頭から吹き飛んでしまった。さらにいうと、その場にぼおっと突っ立ってしまった。
その瞬間、彼女は一気に僕との間を進み、あっという間に僕の目の前に来た。
「っ!?」
突然の出来事にはやくもさっきまでの不安や戸惑いを思いだし、後ろに下がろうとした。
が、それを阻止しようと彼女は素早く僕の腰に抱きついてきた。
「はぁ!?」
驚きと不安が僕のなかに駆け巡る。いきなり女の子に抱きつかれたんだ。驚いたって不思議ではあるまい。
島村 真耶は驚く僕をよそに、僕の顔を見ながら(上目遣い……というのだろうか)こう、言ってきた。
「初めて会ったときから好きでした。付き合ってください」
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