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佐久間さんは時折目を瞑ったり、テーブル代わりのスーツケースの上を指で叩いたり、理解できない部分になると手のひらを向けて話しを止めたりした。その度に、小さく頷いて話を進める様に合図をする。
けれど、僕らの話に疑問をぶつけたり質問をする事は無かった。兎に角、全てを一度聞いてから判断しようとしているのだと思った。
「それで今日チャペルを見に行こうと思って四人で学校へ行ったんです。偶然ですけど、遠藤先生に会った時…薫くんが加藤くんの映像を見て本当の事を確かめる為に病院へ行きました」
殆どの事は明日香が説明をし、偶に僕や公平や朋美が補足や自分の感じた事を付け加えた。多分僕らが知っている事は全て伝えられたと思う。
「ふぅ…想像以上だなぁ」佐久間さんは眉間を右手の中指でトントンと叩き乍ら目を閉じて呟いた。
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