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チャペルに岡本先生の慌てたヒールの音がカンカンと響いた。チャペルにいる二年生全員――四百人が一斉に端っこを走る岡本先生に向けられた。
場違いな状況を感じている筈だ。其れでも真っ直ぐにステージの下まで駆けつけると身体を乗り出した牧師先生に耳打ちをした。
「えー、Dクラスの生徒は連絡事項が在るので帰らないで教室で待っていてくださいとの事です」
少しざわついたのは、自分たちには関係がない連中のほっとしたモノと僕らDクラスの不満の声だった。
「おいおい…大事な夏休みが減るじゃんかよ」
教室で岡本先生を待つけれど、一向に姿を現さない。三階の窓からは、ぞくぞくと帰宅する生徒の後ろ姿が見えていた。
「おい!誰か岡本のヤツ呼んで来いよ」
焦れて大きな声を出したのは公平だ。賛同する声があちこちから聞こえて、仕方なく立ち上がったのは明日香だった。
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