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「山路くんか…」
何時も的確な言葉を話す明日香も、呟いたきり言葉は続かない。
この学園には中京市全域から生徒は通っている。僕ら四人も住んでいる区はばらばらで、公平の家にだって二三度遊びに行った程度だった。
山路くんは随分大人しくて、偶々同じ中学から進学した奴から虐めをずっと受けていたって噂もあった。
けれど――僕らには確かに山路くんと接点は在った。高校に入って初めてのイベント…オリエンテーションの一泊で僕も公平も山路くんと同じ班だった。
強面だった公平はそれ以来何故だか僕になつく様になり、休憩時間の度僕の席に来た。
もっとも今考えれば、僕の隣に座る明日香が目当てだったのかもしれない。
山路くんは僕の前の席で、朋美は明日香と仲良しで自然に山路くんもボソッと会話に加わった。
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