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僕には山路くんがいつもにこにこしている印象しか無かった。
「やっぱ、あん時に――」
口惜しそうに呟く公平の口を指で塞いだのは、明日香だった。僕はそんな仕草にやっぱり二人はそんな関係なのだと、少し不埒な想像をしてしまう。
「やめなよ公平。山路くんが自分で――死んだかどうかもわからないでしょ?」
明日香の言う事ももっともで、岡本先生もわからないと言っていたのだ。
「けどさぁ…」
明日香の指を公平がゆっくり退けた。腰の横、綺麗に刈られた草の上に置かれた公平と明日香の手が繋がっている事は見ないフリをする。
「あれ以上何も出来なかったわよ…私達」
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