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高い天井と夏の湿気がこもる独特な空気は嫌いでは無かった。
もっとも整然と並ぶ木製の長椅子は、直角の背で座り心地は最低だ。
キリスト教には大きく分けると二つの種類が在る事も、この高校で初めて知った。
プロテスタントの高校に在るこのチャペルには、絵画で見るキリストの像も鮮やかなステンドグラスもない。
牧師先生が話す、一段高いステージの背後にある壁の高い場所に小さくて質素な十字架がポツンと存在するだけだった。
最初は気恥ずかしくて仕方なかった賛美歌も、慣れてしまえばあの公平だって声を出して歌うのだからやはり此の場所は特別な空間なのだろう。
マタイだとかマルコだとかヨハネだとかの福音書から牧師先生が一説を読み上げる。長椅子背中には使い古された聖書と賛美歌の歌集が置いてある。
長くもなく短くもない牧師先生の話を聞き終わり、高校二年生の一学期が終わった――筈だった。
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