かみさま。

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「この図鑑、返すぞ」 開口一番そんな台詞。 動物たちがいない森も、真面目な顔の自称神様も、全部全部おかしくて。 「どうしたのさ、急に」 嫌な予感しかしなかった。 胸の辺りが酷く締め付けられているような気分で。 「おしまい。おしまいが近くに来ているのだ」 おしまい。 ねぺたみぽぽを飲み込んだ、黒い穴。 ……でも、アレは創造物特有なモノのはず。 なんで、なんで想像主の自称神様が。 「薄々気付いていたのではないか?私の存在について」 「それは」 音もなく這い寄って来る嫌悪感。 自称神様の頭上に、ぽっかりと。 「楽しかったぞ、とっても。創造され創造し、静かな森がやかましく賑やかな世界になっていって。ああ、もっと此処に居たかったのだ」 黒い穴が広がって。 自称神様を。 「今までありがとう、さよう」 飲み込んでしまった。
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