ぼく。

3/4
前へ
/22ページ
次へ
「あれ」 カエル、いや、ねぺたみぽぽ。 ぬっぺりとした顔の緑色の生物が、ゲコゲコ鳴きながら僕の事をジッと見つめていた。 ……いやいや、おかしいよ。 「この森には生き物なんて」 見つめ合う僕とねぺたみぽぽ。 硬直する僕らの時間を動かしたのは、木の後ろから聞こえてきた笑い声だった。 「なんなのだ、その間抜け面は」 聞き慣れた小憎たらしい声。 間違いなく、紛れもなく。 「え、なんで」 自称神様は消えてしまった筈だ。 おしまいが来て、僕の目の前で。 「まったく、あんなイタズラで気絶するなんて困った奴だな。大体、神を創造出来るなんて考える辺り、本当間抜けだぞ」 ガザガザ喧しくなっていく森。 あっちこっちから姿を現す、沢山の動物たち。 よくもまあ、こんなに上手に姿を隠した物だ。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加