男ゴコロと秋の空

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まあ、三十歳はおじさんだな、認めよう。 「そんなこと、学生に聞くことが、きもいよ」 幸の声が冷たい。 おじさんの次は、きもいときたか! 女子学生のほうが気まずいらしく、なんとかフォローしようとする。 「でも、あの、図書館の方、ですよね? 内容はどうあれ、声かけてもらって嬉しかったです」 お、いい子だ! 「山内さん、ロリコンですか、だらしのない顔しないでください」 「大学生は、ロリータ趣味に入らないとおもうな!それより、笹本くん、発表とやらは?」 むっとした顔、みけんにシワ、余裕のない幸は珍しい。 おれは立ち上がると、すこしだけ背の低い幸の顔に手をやる。 両手の親指で眉間をのばす。 ちょっと優越感、のおれの腕を払いのけ、「その発表のために、北村教授を探してるんです、あの、タヌキおやじ」 そう吐き捨てると、幸はその場を離れた。 「ははは、口が悪いなあ」 女子学生とともに、幸の後姿を見送る。 「今のって、笹本先輩、ですよね?生ではじめて見ちゃったぁ」
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