458人が本棚に入れています
本棚に追加
まあ、三十歳はおじさんだな、認めよう。
「そんなこと、学生に聞くことが、きもいよ」
幸の声が冷たい。
おじさんの次は、きもいときたか!
女子学生のほうが気まずいらしく、なんとかフォローしようとする。
「でも、あの、図書館の方、ですよね?
内容はどうあれ、声かけてもらって嬉しかったです」
お、いい子だ!
「山内さん、ロリコンですか、だらしのない顔しないでください」
「大学生は、ロリータ趣味に入らないとおもうな!それより、笹本くん、発表とやらは?」
むっとした顔、みけんにシワ、余裕のない幸は珍しい。
おれは立ち上がると、すこしだけ背の低い幸の顔に手をやる。
両手の親指で眉間をのばす。
ちょっと優越感、のおれの腕を払いのけ、「その発表のために、北村教授を探してるんです、あの、タヌキおやじ」
そう吐き捨てると、幸はその場を離れた。
「ははは、口が悪いなあ」
女子学生とともに、幸の後姿を見送る。
「今のって、笹本先輩、ですよね?生ではじめて見ちゃったぁ」
最初のコメントを投稿しよう!