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「お父さんが何か大騒ぎしたんですって?」
「そうよ、倒れたって言うから。叔父さんにもメールしちゃったんだけど。大丈夫なの」
「そうね、あまり、大丈夫じゃないわ」
よっこいしょと言いながら座って、「お父さん、お茶」と言いつつ加奈江はお盆から茶托を渡す。
具合悪いって言ってる人に茶の仕度させるの? お父さんってば、何やってるの!
老け込んで見えたのは、大騒ぎして私に電話したことを母さんに叱られたから?
それとも心配で気落ちしてるの?
わかりにくいわーっ!!
頭を振りつつ、裕は母に問う。
「何があったの、って聞いてもいい?」
「ちょっとね、病気にかかってしまって」
「はあ?」
「帯状疱疹っていうの。知ってる?」
「知ってる!」
子供の頃に罹るのが水疱瘡。大概はその際に免疫ができ、再発することはない。しかしウイルスは体内に残り続け、それが中高年に入ると悪さをすることがある。痛みを伴う帯状の皮膚炎が身体の片側にでき、完治に時間がかかると神経痛に移行する。そうなるとやっかいとされる病気だ。
発症の原因の大半は、ストレスに起因するとされている。
ストレスの元は……父さんじゃないの???
娘は口にしそうになり、母に目でたしなめられた。
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