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僕
僕は、閑散としたビルの二階に立ち尽くしていた。
なんてことをしてしまったんだ、と僕は全てが終わってから気づいた。
無我夢中で何も覚えちゃいない。
・・・いや、この子のあどけない、そして少なくとも僕にとっては官能的な“音”だけは僕の耳にこびり付いていた。
陶器のような白い肌を、僕は汚した。
僕は常時持ち歩いていたポケットティッシュを、虚ろな眼をした少女の体にやさしく撫でる。
やさしく。壊れないように。
激しい後悔・・・同時に僕の欲望がむくむくと膨れ上がる。
そんな自分に嫌悪感を抱きながらも、僕の肉棒を、少女のまだ未発達の秘部へ擦り付ける。
こんなことをしてちゃいけない。 まだ間に合うかもしれない。
そんな善意が脳をいっぱいにするよりもずっと先に、今この瞬間の快感に全てを支配されていた。
支配されている所為か、僕は足音に気づかなかった。
この時には既に、「やめておけば」「こうしておけば」、なんて思っていても遅すぎたのだ。
「あんた、こんな夜中になにやってんだ」
目の前に突然、僕の影ができた。多分、懐中電灯の光を背中に当てられているのだろう。
心臓の鼓動が早くなる。さっきまでとはまるで違う興奮状態・・・。
振り向けば、終わってしまう。何もかもが。それくらいは容易に理解できる。
だが、足音が近づいてくる音が不安を増長させる・・・清掃員か?まさか警備員?そんなことを考えさせてしまう。
僕が考えるのは目の前の少女を連れて、後ろの人物から逃げ出すことだ。
後ろの人物の手が、首横の視界に入った・・・。
「あッ」
僕は少女を抱えて、振り向かずにそのまま後方へ体を勢いよくステップさせた。
顔をみられないためにだ。
後ろの人物が清掃員か警備員なのかはわからなかったが、不意の体当たりだからか直撃したらしいので倒れているようだ。
すぐに起き上がるだろう。僕は前だけを見て必死に逃げた。
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