1/2
前へ
/7ページ
次へ

僕は、閑散としたビルの二階に立ち尽くしていた。 なんてことをしてしまったんだ、と僕は全てが終わってから気づいた。 無我夢中で何も覚えちゃいない。 ・・・いや、この子のあどけない、そして少なくとも僕にとっては官能的な“音”だけは僕の耳にこびり付いていた。 陶器のような白い肌を、僕は汚した。 僕は常時持ち歩いていたポケットティッシュを、虚ろな眼をした少女の体にやさしく撫でる。 やさしく。壊れないように。 激しい後悔・・・同時に僕の欲望がむくむくと膨れ上がる。 そんな自分に嫌悪感を抱きながらも、僕の肉棒を、少女のまだ未発達の秘部へ擦り付ける。 こんなことをしてちゃいけない。 まだ間に合うかもしれない。 そんな善意が脳をいっぱいにするよりもずっと先に、今この瞬間の快感に全てを支配されていた。 支配されている所為か、僕は足音に気づかなかった。 この時には既に、「やめておけば」「こうしておけば」、なんて思っていても遅すぎたのだ。 「あんた、こんな夜中になにやってんだ」 目の前に突然、僕の影ができた。多分、懐中電灯の光を背中に当てられているのだろう。 心臓の鼓動が早くなる。さっきまでとはまるで違う興奮状態・・・。 振り向けば、終わってしまう。何もかもが。それくらいは容易に理解できる。 だが、足音が近づいてくる音が不安を増長させる・・・清掃員か?まさか警備員?そんなことを考えさせてしまう。 僕が考えるのは目の前の少女を連れて、後ろの人物から逃げ出すことだ。 後ろの人物の手が、首横の視界に入った・・・。 「あッ」 僕は少女を抱えて、振り向かずにそのまま後方へ体を勢いよくステップさせた。 顔をみられないためにだ。 後ろの人物が清掃員か警備員なのかはわからなかったが、不意の体当たりだからか直撃したらしいので倒れているようだ。 すぐに起き上がるだろう。僕は前だけを見て必死に逃げた。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加