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「何、逃げてんの?」
バンっ。
その瞬間、後ろのタンクに手をつかれる。
あ、これ知ってる。壁ドンってやつだよ。CMとかでも最近するようになった、男が女を壁に追いやって逃げれないように閉じ込めるやつ。
―――でも、なんか違くね!?
そもそも俺、男の子だし!キュン…じゃなくてビクッ…!だったし!!
それにこれ壁じゃなくて、トイレのタンクだよッ!!タンクドンだし、そんなのしたら水出ちゃうかもしれないじゃん!!!
「ねぇ、聞いてるの?」
「――ッ」
…………目が合った。
いや、仕方無い。仕方無いだろうよ。
志野くんの顔が目の前にあるんだから…!
顔近すぎッ!!なにこれ!?一種のプレイ!??!
肌綺麗すぎるだろ!!!卵肌かっ!!
「俺さぁ、訳あってこっち来たんだ」
志野くんの吐息が鼻にかかる。
うわぁ……こいつ、絶対フリスク食べてるよ…めっちゃ、ミント。
あいにく、俺は焼きそばパンだぜ。
マヨネーズたっぷりの自家製だ。もう口ん中しょうがの匂いでぷんぷんだぜ。
息でも吹きかけてやろうか…。
「地元…とはいっても隣なんだけど、そこでさぁ……大将みたいなのしてたの」
志野くんの空いた右手が俺の髪のひと房を掴んだ。
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