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少年が家でゲームをしている時、通学路の近くにある喫茶店でのんびりしている学生がいた。
1杯のブラックコーヒーと、ベーコンレタスをはさんだサンドイッチを頼み、遅刻しているにも関わらず、優雅に朝食をとっている。
彼は考え事をしていた。
それも1時間も前からだ。
「はぁ……」
考え事といっても、そんなに思いつめてはいない。
ただ、クラスに気になる子がいたので話しかけたら頭突きをされ、それ以来学校に来てくれないだけの話なのだ。
いつ来てくれるだろうか、と考えるだけであった。
「襟足 千明…………………………あれ?衿原だっけ?」
名前もうろ覚えなその少年の名を口にする。
自分のチームを壊滅状態に追い込んだのは、意外にも綺麗な顔立ちをした同い年の男だった。
ダークブラウンの髪に、乳白色の肌。
筋の通った鼻や、桃色の薄い唇。
1番覚えているのは目だ。
あの目は正直者で、常に見下されていた。
目は口ほどにモノを言うとはまさにあれのことである。
「はぁーあ」
男がため息をついたのは、もう1度あの目を見たいからだ。
男にとって、あんな態度をされたのは初めてでとても新鮮だった。
そして、もう1度味わいたいと思ってしまったのだ。
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