2:ねぇ!!ドアを開けてぇえええ!!!

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「開けてやりな!」 「何したか知らないけど、痛がってるじゃないか!」 「うちでゆっくり寝られないねぇ」 「ここの人、ついさっきも大声出してたわよ?」 「たまに聞こえるのよね、叫び声とか」 志野くんの向こうにいても、ご近所さんの攻撃が俺に直撃する。 なんで、俺だけこんな目に!? 「おい!志野くん!足引けよ!」 「やだ」 「中入れてやるから!」 「それ絶対嘘でしょ」 こそこそと言い合っている最中でも志野くんは力を込めるのを忘れていない。 この足さえなんとか出来れば良いのに…。 「本当だって!中入れるから!」 「本当に?」 「ああ!だから、ご近所さんを……!なんとか」 「りょーかい」 ケロリとした表情で後ろを向く志野くん。 だか、力は込めている。 抜け目ない奴だ。 「すみません!騒いでしまって。どうやら人違いだったみたいで……。どうもご迷惑をおかけしました!」 志野くんが礼儀正しい口調でいう。 すると、その言葉遣いや志野くんの顔があってか文句を言いつつも去って行きだしたご近所さんたち。 そして、あっちゅーまに消えていなくなった。わお……。 「こんな感じ?」 「ありがとよ。でも俺に擦り付けんな」 「じゃ、約束通り入れてくれる?」 「その前に足を引けよ」 「やだ。どうせ鍵閉めるでしょ?」 「……」 さらにドアを開けようとする力が込められる。 ダメだ……玄関だ。じゃなくて、限界だ……。 もう力がない……。 「ねぇ、千明。ドアから離れて?」 ――――――――悪魔が家に入ってきた。
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