2:ねぇ!!ドアを開けてぇえええ!!!

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ようやく本題に入った。 志野くんと俺の間にある、この机が境界線。 越えたら多分、殴り合いが始まるな。 「見てこれ。千明が頭突きしたところ」 「はは、ざまぁ」 志野くんが前髪をかきあげると、そこには茶色に変色した痣が存在した。 色を見るかぎり、痛みはなさそうだが顔に跡を残せたのであれば気分がいい。 「俺、頭突きとか初めて食らったよ。結構痛いね」 「あっそ。良かったよ」 「俺もしたいな、頭突き」 「あいにく、俺の額は狭い」 「じゃあ、顔面」 「鼻血出る」 「あご」 「舌噛む」 志野くんの声色がだんだん低くなるにつれ、場の空気も張りつめていく。 何が引き金になるか、わからない。まさに一触即発の状態だ。 「なんで、"Light gray"とケンカしたの?」 「覚えてねぇよ」 「どうして?」 「どうしても何もねぇよ。お前だって殴った奴いちいち覚えてねぇだろ」 「あは。生意気だね」 やめなきゃダメってわかってるのに勝手に口が……。 志野くんがコーヒーを飲む。湯気はもう立っていない。 俺は一瞬足りとも志野くんからは目を離さない。 目を離せばきっと良くないことが起こりそうだから。
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