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「はは。こりゃ、強い。アイツらも負けるわけだ」
「知らねーよ」
「でも、俺のがもっと強い……」
「知らねーよ」
俺がキレ気味に言った。
すると、フラフラしていた志野くんが急に襲いかかってきた。
フラフラしていたのが演技だろうとなかろうと、その速さは尋常ではなかった。
反応に遅れた俺は腹に力を入れて、志野くんの拳を受け取る。
「ぐッ…ぁ…!」
「ね?」
殴られたとこがジンジンと痺れる。
それにガードしていても拳の威力が内臓に響いて、胃の辺りから吐き気がした。
「かはッ…!……こんのっ……!」
俺は勢いよく左の拳を飛ばす。それは避けられるが、右足を使って腹に横蹴りを入れた。
お見事、綺麗に決まる。
その衝撃に志野くんは眉間にシワを寄せ苦しんではいたが、瞬間的に俺の足を掴んでバランスを崩してきた。
「ぅわ…!!」
片足を掴まれ、地べたに醜く倒れ込んだ俺。
ギリギリと、右の足首に力が込められる。
「うわー、だっさ」
「黙れよ、志野くん」
「この状態なんかエロいね。ちょっと黙っててよ」
「死ね、くそや……ろっ!」
右足が持ち上げられているのを利用し、俺は腕の力だけで体を起こし、左の足で志野くんの太ももを蹴りあげる。
「い゙ッ……!」
ひるんだ隙に右足を引き戻し、片膝をついて体勢を立て直す。
そりゃ、俺が身を持って味わった攻撃だ。かなり痛かったのをよく覚えてる。
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