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「 なんか……千明の攻撃って、戦ってると頭痛くなる」
「ヘッドアタックが効いてんじゃね?」
「違うよ。千明って変な攻撃してくるじゃん……さっきの腿蹴りだってそうだし、漫画だって。ああいうの俺、嫌いなんだよね」
「それはよかった。そんなんしか染みついてねんだよ」
「ふーん…。千明もされたことあるわけ?」
「まーな」
俺の頭の中に嫌な記憶が蘇ろうとする。
やめろ!あれだけは!……とは思うが、意味は無し。
頑張ってみても意味はない。決して消えはしない。
あれはケンカをする度に思い出してしまうのだ。
―――地獄の小学時代を……。
「11歳で鳩尾に踵落とし」
「え?」
「12歳の時には関節技かけられて腕の骨折った」
「…へぇ」
「まぁ、中学生にもなったらまともにやり合えてたけど勝ったことは1回もない」
本当に地獄の日々だった……。
もう傷が絶えない日はなかった。
そのため、丈夫に育ちすぎてしまい現在に至る。
俺の中身はまさに、あの頃から教育されたのだろう。
恐ろしい。
「そいつ、俺なら勝てるかな?」
「ばーか。今じゃ、組の幹部だっての」
「そうなの?」
志野くんがゆっくりと近づいてくる。
なんか殴られそうになかったので、そのままジッとしていた。
「白組(しらぐみ)に入ってるよ。たまに会う」
「あぁ。かなり有名なとこじゃん」
俺の目の前に来た志野くんは、あの日の個室トイレを再現させた。
ヤンキー座りをして、顔を近づけてくる。
あ……今日はコーヒーの匂いがする。
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