3:仲良しこよしな人間関係

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「もぉーー!!!雨なんか大ッ嫌い!!!」 女は朝起きてからずっとそのセリフばかり吐く。 鏡の前にかれこれ30分も立っている。 昨日の眠りにつく前から、明日は可愛くおだんごヘアーにしようと決めていたのだ。 曲げるわけにはいかない。 「腕が疲れたぁー!誰かやってぇー!」 女がそう叫ぶも、周りには男しかいない。 それも丸刈り頭ばかりの暑苦しい男たち。 「すいやせんがお嬢、俺たちには無理です」 「知ってるわよ!!だから早く蝶姉呼んできて!!」 「へ、へい!!!」 女に叱られた男は慌ててその場を離れる。 女の世話係を呼びにいったのだ。 ―――何せ、女は極道の娘。わがままは今に始まったことじゃないが、なるべく機嫌を損ねないようにしないと何をされるかわからない。 それを恐れて、今日も従う男たちであった。 「もう梅雨なんて嫌!湿気で髪の毛もまとまんない!」 「はい…」 「アンタたちはいいわよね!ハゲだから!」 「いや、これは角刈りで……」 「何よ!!!」 「い、いえ!なんでも!」 頬をぷうっと膨らませるのが、女のイライラしている証拠。 幼い頃からわがままだったため、癖になってしまったのだ。 「あら。そんな顔をしていては可愛い顔が台無しですよ」 「蝶姉!」 自分の自慢すべき美しい世話係の声に、ようやく機嫌が戻り始める。 藍色の着物を着たその世話係は艶のある髪を見事に結い上げ、涼しげな顔をしている。 「今日はおだんごよ!」 「はいはい。わかりましたから、とりあえずパジャマを着替えましょう。パジャマで学校に行くおつもりですか?」 その世話係は見事、女の機嫌を直すことが出来たのであった。
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