3:仲良しこよしな人間関係

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この耳に響くようなバリトンボイス。 俺の記憶がえぐられる……ああ、謎の動悸が……。 俺の嫌な予感が見事に的中した証拠であった。 「――ま、政宗さん……久しぶり」 『てめぇ、俺が電話したら3コール以内に出ろって何回言った?あ゙ぁ?』 「すみません……」 冷や汗が額に浮かんでいる。 話していると、徐々に昔の記憶が蘇ってくるのだ。 そう……この人こそ、俺のトラウマ。 ここら辺を仕切っている白組(しらぐみ)に所属し幹部を勤めている、"悪魔"と名高い男、衿原政宗(えりはらまさむね)。 彼は、俺の育ての親であり、兄のような存在でもあり、師匠……(?)でもある。 最近は連絡がなく、どうしているものかと心配してはいたが、なんともないようだ。 『今日はちょっと聞きてえことがあってな』 「え、俺に……?」 『ああ。どっか人に聞かれねぇとこに行け。わかったな?』 「は…い……」 政宗さんに言われた通りにしよう。 俺まだ死にたくない。 目の前にいる志野くんに目配せをすると、こくりと頷かれた。 俺はこっそりと教室を抜け出して、近くのトイレに入る。 あー…もう1人問題児がいたよ。 あの志野くんの目、絶対に興味津々じゃん。 教室に戻った時のことを考えて、少し気分が下がったまま、再び会話を続けた。 「移動したよ。……で、話って?」 『最近、ケンカ事とか起きてねぇか?』 「ケンカ……?あ゙ー…どうだったかな……」 俺が曖昧な返答をすると、電話の向こうからため息が聞こえた。
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