1:目と目とが合う瞬間に

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……俺は走った。 きっとボルトよりも速く走った。 もう瞬間的に教室から飛び出てきたんだ。 あそこには俺の残像しかなかっただろう……。 とりあえず、先生に言った通りトイレに向かった。 この学校、男子校だから男子便に隠れるしかない。 女子便だったら皆ためらうからな、隠れるのには最高の場所だぜ。(出る時命がけ) 個室にこもって、スマホぽちぽち。 何してるかって…?――助け呼ぶんだよッ!! 俺の唯一の親友になぁ!!(別に友達少ないわけじゃないよ?) 『ゆーたくんへ やっほー☆元気ぃ?? てか、学校来て早々トイレなう! もう萎えぽよー 助けてクレヨン。 千明より』 よし…………送信っと。 衿原千明、トイレの個室にて親友の助けを待つ。 うわぁ、超ダサい。 ブーッブーッ おお……!さすが親友!スマホいじってたか! 『親愛なるちーちゃんへwww 便所とかwwwwww くそウケるんですけどwww 声出して笑ったわwwwwww それなにゆえwww?なにゆえwww? P.S.今、ガチ体育してるから無理 ゆーたくんより』 ………………P.S.と本文、逆じゃね? え…俺よりガチ体育?? てか、ガチ体育ってなんだよ、本気で体育やってるってこと? なんだよ今日の体育。サッカーか?バスケか? よく見りゃ俺バカにされてるし?Wの量ハンパないし、書き出しからWついてんだけど。 親友からの返事にイライラした。
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