3:仲良しこよしな人間関係

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「なぁ、志野くん」 「なんだい?」 「君にこの卵焼きをあげるので、今日ついて来てほしい」 お箸で卵焼きをぶっさして、志野くんに突き出す。 一瞬、キョトンとした志野くんだったが、次の瞬間にはニコリと笑いその卵焼きを口に頬ばった。 「別に行ってあげてもいいけど、行ってもいいか決めるのはその政宗さんって人じゃない?」 「あ」 「卵焼き1つ分、損したね」 もぐもぐと口を動かす志野くん。 「てか、いつまで名字呼びしてんの?」 「え、呼び捨てしていいの?」 「こんなに親しいのに、名字呼びって逆に変だよ」 「それもそうか」 メインのプチハンバーグを小さく割って、口に入れる。 そうだな……確かに志野くんの言う通りだ。志野くんも俺のこと、千明って呼んでるし、ゆーたも志野くんのこと"シノっち"て呼んでるし……。 よし。そうしよう! 「――名前なんだっけ?」 「千明のそういうとこ好きだよ」 「それは勘弁」 「志野大雅。志す野原に大きな雅」 「うわ、なんか腹立つ」 めっちゃカッコ良く自己紹介してきやがった。 なんだよ、大きな雅って。くそ綺麗じゃねぇか。 俺なんか、衿の原に千の明るい……だぜ?超意味わかんねぇー。 「じゃ、大雅でいいや」 「今更だけど、よろしくね」 「ほんと、今更だわ。よろしく」 ちょっと遅めの挨拶。 でも、俺にはこれがちょうどぴったりなのかもしれない。 雨の止んだ空を見れば、遠くの方で虹がかかっていた。
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