3:仲良しこよしな人間関係

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「じゃ、とりあえず一緒に行くということで」 「おー……」 「なんかスッキリしないことでも?」 俺の表情から鋭く見破る志野k……じゃなくて、大雅。 すごい観察力。ちょっと怖いね。 「うんー……チンピラに絡まれたにしちゃ、大事だなと……。ちよちゃんも、チンピラ相手にムキにならない子だと思うんだけど……」 「組同士の抗争……とか?ほら、この前のおじさんたちが言ってたじゃん?火の粉が掛かっても知らないよって」 「んー、でもここら辺は白組の管理下だし、抗争っていっても一体どこと……」 「俺が思うに、藤沢組じゃないかな?」 「藤沢組ぃ?」 藤沢組という名前に、クエスチョンマークがいくつも頭の上に並ぶ。 なんだ、それ。聞いたことない組の名前だ……。新しく出来たのかな? 「最近、大きくなってるから有名なんだけど………地元民なのに知らないの?」 「あいにく、組絡みのことは後が怖いから避けてまして」 大雅の伸ばした足に蹴りを入れる。 痛みで顔をしかめてはいたが、ダメージは0のようだ。 しかし、そんなに有名な組があるとは……これからはちゃんと情報収集しよ。 持っていて邪魔な組の情報はないからな。 「――まぁ、なんにせよ、ロクなことじゃない気がする」 「巻き込まれないでね」 「当たり前だっつーの」 食べ終わった弁当に蓋をして、腰をあげる。 背伸びをすれば、腕の辺りからポキッと音がした。 そろそろ昼休みが終わるだろう。 もうこの日、乗り越えなければならないのは授業ではない。白組本家への訪問だ。 それまで、無駄な足掻きも出来ない自分に対し、ため息が出るのであった。
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