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白羽さんからの質問に対し、振り返って見れば大雅は肩をすくめた。
「ふふ……戦ってると神経削られたよ。でも、まぁ五分かな?」
「だとよ、政宗。こいつには気をつけろよ」
ははははは、と愉快な笑い声を上げながら白羽さんは出て行った。
そして5秒ほど経った時、俺は大きな安堵のため息をつく。
「大雅。お前はアホか」
「正直者と言ってほしいね」
「世間一般ではてめぇを命知らずって言うんだよ」
政宗さんもあの状況下で緊張していたのか、正座を崩し首元のネクタイを緩める。
ほんと、命知らずだよ。だって俺らが正座してる中、堂々と胡座をかいてたんだぜ?
極道の家で、しかも組長の前で胡座をかく奴なんていないだろ普通。
軽く大雅を蹴ると、足に痺れが走る。
うひょー。
「おい、千明。もうお前には用はねぇから帰れ。近くまでは送ってやる」
「最近、忙しそうだね。ちゃんと帰ってんの?」
「ここに泊まってる方が何かと都合が良くてな。それに帰っても誰もいねぇだろうが」
政宗さんの冷たい目が俺を見つめる。
薄々は感じてたけど、政宗さんは寂しがり屋なところがある。
今こうやってデレたのがその証拠。
でも、自分から追い出したのだ。
帰って来て欲しいとは口が裂けても言わないだろう。
「だって、そっち戻っても政宗さんいない日の方が多いじゃん。俺も退屈なのー」
「あのクソ野郎も呼べばいいだろうが」
「まさかのゆーた」
部屋を出て、広い庭が見渡せる縁側の廊下を並んで歩く。
てか、政宗さんそろそろデレるのやめて。キャラ壊れるよ。
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