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雄太はやはり俺と同い年であり必然的に同じ学校にも通うようになった。
そして俺は何が楽しくて四六時中、顔のいい男と一緒にいにゃならんのかそればかり考えていた。
源氏さんより降された命令から早3ヶ月。どんな意図があってかは未だわからないがこの雄太という男の素性は掴めてきたところだった。
出会った頃はろくな生活ができていなかったためか貧相な体をしていたが、最近では良いものを食べているのだろう、肉付きが良くなり生まれ持った顔面偏差値が上昇してきた。
さらに雄太のコミュニケーション能力は伊達ではなく、転入早々にクラス全員の動向を把握していた。また、恐ろしいことにそれを利用し相手との距離を縮め、情報網を校内中に広げた。生徒だけでなく教員をも巻き込んで。
「あっつ…」
季節は夏休みの下旬を迎えていた。
特に楽しかった思い出もなく、ただ残っていたのは大量の宿題のみ。…しかも俺だけ。このままでは政宗さんに締め上げられ地獄へ直行コースであり悔しくも雄太へ声をかけてみることにした。
雄太はというと悠々自適な生活を送っていいるらしく宿題なんてものはとっくに終わらせていた。
それは好都合ということで、早速自宅へお邪魔しようと今に至るわけだか。
炎天下の中、あと数歩で入れる家の前とは何故こんなにも苦痛なのか。
雄太の家の玄関前で10分は経過しただろう。
俺は暑さでおかしくなっていたのだ。
何も考えず、気づいたら雄太の家にまで押しかけていたのだ。雄太が家にいるかどうかも確認せず。
「やっちまったな」
到着してすぐにインターホンを押して見るが反応がない。そして繰り返してみても反応がないし、連絡してみても返信がない。
白組専属となった雄太には生活ができる程度の衣食住が与えられた。本家からはそう遠くない場所にあるマンションの1部屋。1LDKの間取りで男子学生が暮らすには十分な広さ。
組の近くましてや監視でもされていそうな部屋で暮らすなんて、生業としているところからの収入でもっと良いところに住めるのではないだろうか。
何を考えているのか、未だに謎だ。
「……これが殺人現場なら俺は第一発見者で容疑者Aだな」
インターホンを押してもダメ。
なら、ダメ元で鍵がかかっているか確認してみようじゃないか。
魔が差して、扉のドアノブに手をかける。
嫌な予感しかしないだろう。
これはまさにフラグ回収といったところだろうか。
扉はガチャリと音を立てて開いた。
「空いてるじゃん…」
人の家に勝手に入る泥棒ってこんな感じなんか。
俺は生唾を飲み込んで玄関へ侵入した。
そこには雄太のものと思われる靴があるだけであり、その玄関から見える光景は何もない空間だった。
「なんだここ。モデルルームの方が物置いてんじゃん」
ポツリとつぶやいた言葉が静かに響く。
すると部屋のどこかで物音がした。

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