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「ちょっと話せますか?」
ユージに聞くと、
「ええ…じゃあ裏を使ってください。
誰も居ませんから」
ドアを指さす。
privateと書かれてあるドア。
「なにか…」
ドアを後ろ手に閉めて、
タケシが言う。
更衣室か…簡単なハンガーラックが幾つかあって、
ベンチのような椅子があるだけの殺風景な部屋。
「麻美をどこに隠した…」
そんなとぼけた顔しても解ってるんだ。
「な、何を…
言ってるんです?」
白々しい。
「この街で頼れると言ったらキミしか居ない。
解ってるんだ。
部屋にいるのか?
話をさせてくれ」
冷静に話さなければ、全部台無しだ。
「居なくなったんですか?麻美」
隠し通すつもりか。
「あんたが!
あんたが誑かしたんだろ!
じゃないとこんなに急に居なくなったりしない!
今日だって約束してたんだから!」
ほとんど掴み掛かりそうなくらいの勢いだったと思う。
それほど、
思い込んでた…
考えてみたら無茶苦茶だよな…
なんの証拠もない。
ただ俺が…
この男の存在に、
恐怖を感じてたと言うだけで…
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