第1章

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「ちょっと話せますか?」 ユージに聞くと、 「ええ…じゃあ裏を使ってください。 誰も居ませんから」 ドアを指さす。 privateと書かれてあるドア。 「なにか…」 ドアを後ろ手に閉めて、 タケシが言う。 更衣室か…簡単なハンガーラックが幾つかあって、 ベンチのような椅子があるだけの殺風景な部屋。 「麻美をどこに隠した…」 そんなとぼけた顔しても解ってるんだ。 「な、何を… 言ってるんです?」 白々しい。 「この街で頼れると言ったらキミしか居ない。 解ってるんだ。 部屋にいるのか? 話をさせてくれ」 冷静に話さなければ、全部台無しだ。 「居なくなったんですか?麻美」 隠し通すつもりか。 「あんたが! あんたが誑かしたんだろ! じゃないとこんなに急に居なくなったりしない! 今日だって約束してたんだから!」 ほとんど掴み掛かりそうなくらいの勢いだったと思う。 それほど、 思い込んでた… 考えてみたら無茶苦茶だよな… なんの証拠もない。 ただ俺が… この男の存在に、 恐怖を感じてたと言うだけで…
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