scene1「半身の世界」

3/82
前へ
/422ページ
次へ
確か最初に僕にその話をしてきたのは、高校のクラスメイトだった。 ちなみに高校のクラスメイト、なんて幅の広い代名詞を使った所で、僕に話しかけたという前提がある以上、それは個人を指すことになる。 一個人、周防(すおう)浄(じょう)を。 僕に積極的に関わろうとする奇特(きとく)な人間など、僕のクラスには彼しかいない。 場所は放課後、何ということはない教室の中。 噂好きのその彼は、まるで新しいおもちゃでも見つけたかのような表情で、おもむろに僕に近付いてきて。 「なあ、赤ナイフって、知ってる?」
/422ページ

最初のコメントを投稿しよう!

39人が本棚に入れています
本棚に追加