scene1「半身の世界」

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「噂話?馬鹿馬鹿しい――周防。お前も子供じゃないんだからなあ…」 成人はしておらずとも、なんて。 いい加減にしろ、と、言外に隠した。 周防浄がこの後の僕の運命を知っていたのかと言えば、確実に、知らなかっただろう。 だが、そこは周防浄の周防浄たる所以である。 知らなかったからこそ彼は、このタイミングで僕に話を振ったのだ。 「まあ、そう言うなって、いいか、赤ナイフってのはな――」
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