scene1「半身の世界」

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「右胸」 とだけ。 ピリオドを打って。 「右胸を、貫かれたでしょう?」 つ、と。 伸ばされた指先が、薄いワイシャツの上から、胸の表面を滑る。 そして、甦る感覚。冷たいものが、体の中に沈む。 痛み。 熱。 いや、そんなものはなかった。 ただ、違和感。 気持ちの悪さが、使い物にならない半身に回帰する。 嫌な予感がした。 それは、何処か確信めいたざわめきを孕んでいて。 僕に彼女の次の句を、大人しく待たせた。
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