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「右胸」
とだけ。
ピリオドを打って。
「右胸を、貫かれたでしょう?」
つ、と。
伸ばされた指先が、薄いワイシャツの上から、胸の表面を滑る。
そして、甦る感覚。冷たいものが、体の中に沈む。
痛み。
熱。
いや、そんなものはなかった。
ただ、違和感。
気持ちの悪さが、使い物にならない半身に回帰する。
嫌な予感がした。
それは、何処か確信めいたざわめきを孕んでいて。
僕に彼女の次の句を、大人しく待たせた。
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