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登校するための道順に、一切の揺らぎはない。
僕は普段僕が歩くルートを、彼女に微塵(みじん)の配慮もなく辿り、彼女はそれに対して異を唱えることもなく、ただついてくる。
「――――で、聞きたいことだけど」
首だけを右側に少し倒すようにして、気だるさをこれ見よがしに、そんな態度で、僕は始めた。
「どうして、僕なんかに話をしたんだ?僕は出来損ないだ。そんな話をされても、どうしようもないのに」
疑問は山にあるが、一番気になるのは、ここだ。
どうして彼女がわざわざ、僕にこのタイミングでコンタクトしてきたのか、である。
見殺しにしても構わなかったはずだ。
なのに、どうしてわざわざ。
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