scene1「半身の世界」

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登校するための道順に、一切の揺らぎはない。 僕は普段僕が歩くルートを、彼女に微塵(みじん)の配慮もなく辿り、彼女はそれに対して異を唱えることもなく、ただついてくる。 「――――で、聞きたいことだけど」 首だけを右側に少し倒すようにして、気だるさをこれ見よがしに、そんな態度で、僕は始めた。 「どうして、僕なんかに話をしたんだ?僕は出来損ないだ。そんな話をされても、どうしようもないのに」 疑問は山にあるが、一番気になるのは、ここだ。 どうして彼女がわざわざ、僕にこのタイミングでコンタクトしてきたのか、である。 見殺しにしても構わなかったはずだ。 なのに、どうしてわざわざ。
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