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「経験談」
単純。明快にして簡潔な答え。
一言で、十分だった。
しかし、彼女は並べるのをやめない。
「私の知る『赤ナイフ』は基本として、無差別に人を襲う。無差別に人を消し去る」
まるで動物の習性でも解説するように。
まるで道具の使い方でも説明するように。
僕は、その語り口に違和感を感じる。
「…そんなに決まりきったものでも、ないと思うけど」
『赤ナイフ』は、人のようだった。
中身までどうかは知らないが、明らかにその気配は異形の物であったが、少なくとも、その姿形は。
だから、彼女の経験談とやらには、少し、抵抗を覚える。
殺されかけた相手に、
人間性を、求めていた。
「いえ、私の経験上、『赤ナイフ』の行動には何かのポリシー…プログラムめいたものがあると、確信しているの」
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