scene1「半身の世界」

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彼女がどこにも、いないことに気付いた。 「……は?」 最初からいなかったかのように、 此処にも何処にも何処へでも。 いない。 いない。 彼女が、いない。 僕は幻想とでも話していたのか。 僕は空想とでも話していたのか。 僕は想像とでも話していたのか。 存在感が薄い少女ではあった。 だからといって、こんな、 こんな唐突に、いなくなるなんて、 いなくなる? いや、そもそも、 そもそも彼女は最初から、 最初から?
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