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だから、せめて、この章を綴じる前に、
僕は名乗っておこうと思う。
勿論その程度で僕に正面戦闘に足るだけの実力が備わる訳でもないだろうが、
それでも、明らかにしておくべきだと思うのだ。
名前など記号に過ぎず、
他称されるべくつけられた符号に過ぎず、
誰かがその存在を測るための、信号に過ぎないが。
名乗らないままで話を回せば、
僕は名前さえも覚えられない。
知らないことを知ることは、出来ない。
だから、僕は無名のまま、幕を引く羽目になる。
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