第二十章 心から愛すべき人と

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 季節はもう12月。僕は結局、隆二と同棲生活を始めた。僕が料理をしたり家事をするって条件で。だってただでお世話になるのはやっぱり申し訳ない。  今日はクリスマス。二人きりでまたあのレストランに行った。僕が用意するって言ったんだけど、隆二はどうしてもって二人きりでクリスマスディナーをしたいって。  僕の大好きな、そう二番目になっちゃってごめんね。なんだけどプリンパフェがあるところ。  目の前には自家製のローストチキンやら、無農薬の野菜サラダやらカクテル、ラグジュアリーな顔ぶれだ。  カクテルを互いに合わせると気持ちのよいグラス音が高く響く。  僕が嬉しそうに美味しそうにディナーを食べるのを見て、隆二は殊更嬉しそうに微笑む。 「隆二、食べないの?」 「いや、君の食べてる顔が可愛くて、つい」 「食べようよーすっごく美味しいよ、このローストチキンジューシーで香料もいい香り、口の中に広がると色々な姿を魅せるんだ! まるで隆二のお芝居みたいに!」  頬張りながらニコニコすると、やっぱりそんな僕の顔を満足気に彼は眺めていた。  もちろんしっかりとプリンパフェも食べちゃった!  食後、気晴らしにと僕らはまたあの屋上へ向かった。 今日はクリスマスイブだから、凄くあちらこちらにイルミネーションが輝いている。  屋上から下の景色はいつも以上に賑わう人の声で溢れてキラキラ輝いていた。 「そうだ、隆二、僕前から言わなきゃって思ってたことがあったんだ」 「なんだ?」 「負けたのは隆二じゃないよ、僕だ」 「何が?」  僕はふふっと微笑んだ。 「恋人ゲーム!」  僕は彼に抱きついた。隆二は微笑んで僕を包み込むながら蕩けそうな笑みを浮かべた。  僕にしか見せたことがないほどあの夜の時のような熱い眼差しと笑顔で。 「ゲームクリアか?」  僕がうなづくと、二人で微笑み合う。 「守、ずっと前から好きだった」  あのドラマの時のセリフ!  僕は照れくさいけど、その先になかったセリフを付け足した。 「僕もあなたの事が大好きだよ、隆二」 「今度は芝居じゃなくてリアルでね」  隆二が優しく呟くと僕も頷き、微笑み合う。そしてそっと互の額を押し当てる。そのまま煌く景色の中で僕らはキスを交わし抱き合った。  これからは芝居じゃないゲームでもない、僕らはリアルな恋愛をして行く。ずっと永遠に。
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